みなさまの会社でも、組織内のメンバーを集めて、プロジェクトという形で全社的、組織横断的な取り組みがなされているのではないでしょうか。
当ラボでは、プロジェクトを以下のように定義します。
・ある目的を達成するために、
・全社的、組織横断的に人員が集められ、期間限定で推進される活動。
・その目的が達成されたら、活動は完了。
上記プロジェクトの定義を踏まえると、プロジェクト推進には以下が必要ではないでしょうか。
①目標
②計画
③資源
④進捗管理
⑤リスク管理
まず、最終的に達成したい目的を、より具体的な道筋として示すものとして、①目標が必要になります。目標は最終的な目標だけなく、マイルストーン(中間目標)もあります。
目標を実現するために、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」実行していくかを決めなければいけません。それが②計画です。
計画が出来ても、それを実行するには③資源が必要です。資源には、ヒト、モノ、カネ、時間、情報などがあります。
計画通り進んでいるのか、それとも遅れているのか、遅れている場合にどう挽回するのかなど、PDCA管理サイクル、特に「CA」が重要になります。これが④進捗管理です。
プロジェクトが当初の計画通りに行けばそれに越したことはありませんが、そのようなことはまずありません。プロジェクトの推進を阻害する事態が発生し、それらの対応として、⑤リスク管理が必要になります。
このような観点から、どのようなヒューマンエラーがありうるか考えてみると、例えば、
①目標に関しては、
・目的に合った目標になっていない。
・マイルストーン(中間目標)の設定が現実的ではない、実態に合ってない。
②計画に関しては、
・実行項目(タスク)がうまくブレークダウンできていない、抜け漏れがある。
・期間・時間の読みが甘く、現実的なスケジュールになっていない。
③資源に関しては、
・計画を遂行するために、必要な人員、資金、機器・設備などが確保、配分されていない。
・活動に必要な時間が確保されていない。
④進捗管理に関しては、
・慢性的な遅れが発生している。
・遅れを解消するための挽回策が実行されない。
などがあるのではないでしょうか。
世の中には、プロジェクトマネジメントの専門家の方がたくさんいらっしゃいますので、これらの一般的な対応などは、そちらにお任せしたいと思います。
当ラボは、ヒューマンエラーを研究している立場で、大前提として「しくみを構築するのも人、運用するのも人、そのため、世の中で完璧なしくみはない」と考えています。
もし、よろしければ、以下も参照ください。
その観点からすると、
(1)①目標、②計画、③資源が、当初の想定通りにうまく行くことはないと心構えをしておく。
(2)上記前提で、④進捗管理、⑤リスク管理をいかに行うかが重要である。
と考えています。
更に、(2)に関しては、特に、
・①目標、②計画を設定する段階で、その実現を阻害するリスクをどれだけ想定できるか、その低減策をどこまで打てるか、リスクが発現した場合の対策をどこまで決めておけるか、備えておけるか。
・計画を実行している段階でも、④進捗管理で、目標、計画がうまく行かなくなりそうな兆候をいかに早く察知するか、そのために、収集、周知、共有すべき情報は何か、その情報にアクセスできるしくみをどう構築、運用するか。
が重要ではないかと思っています。
その意味では、状況に応じて、③資源を柔軟に再分配することはもちろんのこと、①目標、②計画を変更することも視野に入れておかなければいけないのではないでしょうか(経営トップとの認識合わせ、共有含めて)。
最後に、ヒューマンエラーの話から少し離れるかもしれませんが、プロジェクトに関して、言いたいことがあります。
私も仕事柄、クライアントのプロジェクトをご支援させていただいたり、関与はしないのですが、横目で見させていただくことがあります。その中で、たまに、以下のようなプロジェクト(という名称になっているだけ?)を目にすることがあります。
a.目標、計画がありきで、目的を見失っているのではないかと思われるプロジェクト(このようなプロジェクトは、だいたい、目標、計画が、ノルマや変えられない制約になっていて、これらに縛られ過ぎていることが多い)。
b.目的を達成していないのに、ぬるっと終了するプロジェクト。完了はしていない。
c.5年くらい推進しているプロジェクト。
冒頭に、当ラボの定義をご紹介しましたが、プロジェクトは、「目的達成」「期間限定(長くても2~3年くらい)」がポイントだと思っていますので、例えば、
・aやbのようなプロジェクトは中止。その上で、aは、もう一度、目的から考え直した上で、新しいプロジェクトとしてスタートする。bは、なぜプロジェクトが完了できなかったのかを振り返り、その反省を活かして、再スタートする。
・cのようなプロジェクトは、今の組織体制の中で、日常の仕事の一環として推進できるように、現状の活動に落とし込んでいく。
という対応が必要ではないでしょうか。
新しい取り組みとして、最初はプロジェクトを立ち上げ、しくみの構築・運用を模索することは問題ないのですが、最終的には、日常の仕事に落とし込むことを見据えた活動にするべきだと当ラボでは考えますが、みなさまはどうお考えになりますか。
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