オリンピックの誤審を考える。

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オリンピック盛り上がっていますね!
私は、結果をニュースで見るというのが中心ですが、いろいろな種目で誤審が取り上げられて、問題になっているようです。これをヒューマンエラー的に考えてみたいと思います。

誤審はどのタイプのエラー?

まず、あえて型エラーは考えにくいですかね。審判が守るべき基準・ルールを守ってなくて、誤審になったということであれば、違反ということになりますが、審判が意図して、違反するとは考えにくいですよね。仮にそんなことがあったとしても、他の審判や審判を監視する人がその場で指摘し、是正をすると思われます。次に、リスクテイキングですが、「もしかしたら誤審のリスクがあるかも・・・」と思いながら、誤った判定をするとは考えにくいのではないでしょうか。
ついつい・うっかり型エラーを考えてみましょう。記憶エラーに関しては、例えば、審判が競技のルールを間違えて覚えていて、誤った判定をする可能性は否定できませんが、違反と同様、しかるべき方が指摘して、誤審として大きく報道される前に、何らかの是正がされると思われます。次に、行動エラーですが、例えば、野球の審判が、頭ではボールと思っているのに、ストライク判定のポーズがつい出てしまったということが考えられるのですが、これも、すぐボール判定のポーズをして是正することが出来ると思いますので、これも大きな問題にはならないと思います。
ということで、大きな問題となっている誤審の背景にあるエラーは、認知エラー、判断エラーが中心ではないかと思われます。認知エラーは見逃す、見間違えるなどのエラーで、判断エラーは状況の理解、認識を間違えたり、状況に応じた判定を下さなかった間違いです。もちろん、これらのエラーも審判が誤審をしたとしても、ビデオ判定のように後で検証できるシステムがあれば、その場で是正できることに変わりはありません。それでも、認知エラー、判断エラーが問題になりやすいのは、人の知覚に頼り、ある程度基準・ルールを決めているとは言え、判定に関して、人に裁量の余地がある場合です。例えば、ボクシングの採点、アイススケートや新体操の芸術点などは、そのリスクがあると言えるのではないでしょうか。冒頭にも話しましたように、私は、オリンピックの結果をニュースで見る生活が中心となっていますので、今、報道ベースで取り上げられている誤審がなぜ問題になっているか詳しく語る資格はないのですが、「人の知覚に頼り、ある程度基準・ルールを決めているとは言え、判定に関して、人に裁量の余地がある」ということが背景の一因にあるといえないでしょうか。
ちょっとオリンピックの話題から離れて、仕事の話に紐付けると、ものづくり現場の官能検査が同じ問題を抱えていると思います。そのため、昨今の技術革新を活用した対策として、画像検知システムやAIに良品・不良品を判定させるシステムが考案され、もしかすると、みなさまの職場にも導入されているかもしれませんね。

対策は?

では、誤審を無くしたり、減らしたりするためにどのような対策があるかに触れてみたいと思います。
まず、思い付くのは、先ほども触れましたが、ビデオ判定のような、後で画像などを見て、検証する対策だと思います。これは、一旦、審判が誤審したかもしれないということで、画像を見て、誤審=ヒューマンエラーがあったかどうかを検証するということですから、3.エラー対策に当たります。
あと、フェンシングで導入されている審判器のように、人が判定するから誤審が起こりうるので機械などに置き換えるという対策もあります。これは、1.全体対策に当たります。つまり、人が判定に関わる余地を無くしたり、減らしたりする代わりに機械にやらせるということです。
2.要因対策は、教育訓練だったり、見逃し、見間違いが誤審につながるなら、見やすくするしかけを導入するということでしょうか。
4.不具合対策ですが、誤審の結果、発生する不具合や被害を最小にするという方向なのですが、これは何を不具合ととらえるかによって変わってくるかもしれません。例えば、誤審の抗議電話がオリンピック事務局に掛かってきて、業務に支障でるようであれば、その対応ということになるでしょうか。
余計なお世話かもしれませんが・・・昨今のSNS全盛に思うことですが、誤審をしたとされた審判やその判定が有利に働いた選手などへの誹謗中傷もオリンピック委員会が対応するべき不具合をとらえて、適切な対応をしていただけるといいな・・・なんて思ったりします。

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