マネジメントの視点からヒューマンエラーを考えてみたいと思います。
マネジメントをどう考えるか。
まず、当ラボがマネジメントをどう考えるかということから話を始めたいと思います。
最近、「マイクロマネジメント」「マクロマネジメント」という言葉が見られるようになりましたが、当ラボでは、そもそもマネジメントが目指していることに「マイクロ」も「マクロ」もないと考えています。というのも、マネジメントのあり方は、マネジメントの対象や状況に応じて変わると思うからです。
例えば、新入社員に対して、方向性だけ示して、後は自由にしろというのもおかしいし、ベテラン社員に、箸の上げ下ろしまで事細かに指摘するようなマネジメントも一般的には合わないでしょう。しかし、新入社員であっても、ある仕事に関しては、「一度目は経験、二度目は失敗」の精神で、方向性だけ示して、後は自分で試行錯誤させることも状況によってはありだと思います。もちろん、バックアップ、フォローアップは必要ですが。
つまり、「マイクロマネジメント」「マクロマネジメント」という言葉は、対象や状況に合っていないマネジメントをした際に語られる言葉ではないかと当ラボでは考えます。
ヒューマンエラーをマネジメントするには?
仮に、みなさまの職場でヒューマンエラーをしてしまった人がいて、みなさまがマネジメントをする立場だった場合、どうされますか。
当ラボの基本スタンスは「ヒューマンエラーとシステムエラー」にも書きましたが、現状把握、要因分析を行い、ヒューマンエラーを起こしてしまった人を取り巻く広い意味での環境のまずさを明らかにした上で、対策を実施することが必要だと考えています。しかし、人を取り巻く環境そのものを改善したり、システムの導入、変更がいつも出来るとは限りません。そうなると、人へのアプローチも必要になってきます。当然、知識・経験・スキルに乏しい新入社員が対象なのか、仕事に慣れているベテラン社員なのかによっても変わってくるでしょうし、何よりヒューマンエラーの要因によって対応は変わってきます。その意味でもヒューマンエラー発生のメカニズムを知ることはマネジャーに必須なことではないでしょうか。
ヒューマンエラーは人がするものです。また、どの仕事のどんな状況でエラーが発生するかは千差万別であることが十分ありえます。つまり、対象者やエラー要因に応じた、個別具体的なアプローチが求められる可能性が高いということです。まさか、みなさまは「ケアレスミスに注意!」のようなふわっとした指示はしていませんよね(何に気を付けるの?も参照ください)。また、個人ごとのヒューマンエラー発生傾向を知って、それに合わせた対応を検討することが必要かもしれません(ヒューマンエラーセルフチェック(簡易版)も参照してみてください)。
そうはいっても、マネジャーも忙しくて、いちいち細かいことに気配り、目配りし切れないと思います。当ラボでは「ヒューマンエラー防止こそ最も身近で本質的な問題解決!」でも述べているように、ヒューマンエラー防止はマネジャーや特定の部門だけが行うのではなく、組織に属する全員が能動的に関わるべきだと考えています。そこで、マネジャーのみなさまが着手すべきことは、
・組織のメンバー全員にヒューマンエラーへの興味・関心を持たせる。
・組織のメンバー一人ひとりがヒューマンエラー防止の問題解決サイクルを回すように誘導する。
ことではないでしょうか。そのために何より大切なことは、「ヒューマンエラーに関して、率直に話せる職場の雰囲気づくり」だと思います。「ヒューマンエラー防止こそ最も身近で本質的な問題解決!」のコメント欄でも触れていますが、例えば、朝礼や定期的なミーティングの中で、少しの時間でもよいので、ヒューマンエラー防止について話し合い、今後はこうしよう、やってみた結果どうだったという問題解決サイクルを回すことから始めてみてはどうでしょうか。最初のミーティングでは、まず、マネジャーのみなさまが自分をさらけだして、自分のヒューマンエラーを語るなど口火を切って、エラーが語りやすくなる雰囲気づくりをしてもよいかもしれません。是非、一歩踏み出してみませんか?
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