マネジメントエラーを考える

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人に起因した問題で、報道を賑わせるような事故・トラブルは、例えば、生産過程で異物が混入した、材料やその量を間違えた、作業・業務の不正を見逃した、検査データを改ざんしたなど、現場最前線でのオペレーション上のヒューマンエラーが取り沙汰されることが多い印象ではありませんか。

私が支援を依頼される時にも、このような現場でのエラーを防ぐ(その管理も含め)ためという目的であることが多いです。
確かに、このような事故・トラブルは、現場でエラーが発生し、それを組織内で防ぐことが出来ずに、社外に流出することで大きな問題になるという発生メカニズムで起こるものだと思います。
その意味では、チームでエラーを防止するという視点は非常に大切だと思いますし、当ラボでも、チームエラーの理解を深めることの重要性をお伝えしています。

日本を代表するような大手企業も、最初は、経営トップから現場最前線まで、組織の全構成員が少なく、社長も社員全員が顔見知りの状態で経営していたはずです。順調に事業が拡大し、組織の規模が大きくなるに従い、いろいろな管理のしくみを導入したものの、次第に現場まで目が届きにくくなります。

そもそも、事業を拡大するに当たり、社長を含めた経営トップサイドの戦略レベルでの判断も重要になってくるはずです。順調に事業が拡大したら経営トップのおかげ、事業が縮小して事業廃止、最悪のケースの場合、倒産となったら、景気が悪かったから、時代についていけなかったと済ませてよいのでしょうか。また、社会的問題を引き起こしても、それは現場が起こした問題で、まさかこんな問題が起こるとは思わなかったと責任を回避できるのでしょうか。これらは、結果論ではありますが、経営トップのヒューマンエラーだと思うのは私だけでしょうか。

その意味では、「マネジメントエラー」が問われるべきだと当ラボでは考えます。
ここでは、マネジメント=経営とし、組織目標を達成し、成果を出すための計画・実行・統制や組織化の活動はここでは管理(狭義のマネジメント)とします。

つまり、マネジメントエラーは例えば、以下の3つがあると当ラボでは考えます。
①方針、ミッション、ビジョンなど戦略レベルでの経営トップのヒューマンエラー
②戦略を実行するための管理のしくみ構築における経営トップのヒューマンエラー
③管理のしくみ運用における経営トップのヒューマンエラー

①は例えば、事業戦略や商品開発戦略におけるエラーがあります。
戦略立案そのものの間違いもあると思いますが、それを防ぐためのテクニック、ノウハウは、世の中にたくさんの戦略コンサルタントがいらっしゃると思いますので、そちらにお任せします。
当ラボとしては、
・当初、立てた戦略と実態が合わなくなってきた兆候を見逃す認知エラー
・上記兆候は見い出せたが、それが今の戦略にどのような影響を及ぼすかなどの状況理解を間違える判断エラー
・その兆候がもたらす影響を無視したり、甘く見て、そのまま放置する、もしくは、戦略見直しの方向付けを間違えるなど、意思決定の間違いである判断エラー
などがありえると思いますし、そこに興味、関心があります。
判断エラーに関しては、以下の記事が参考になるかもしれませんので、興味ある方は以下を参照ください。

②は、しくみの構想、企画、設計、実装などのプロセスにおけるヒューマンエラーです。
しくみ構築のプロセスに直接、経営トップが関わることは少ないとはいえ、節目節目で、しくみ構築の方向性に関して、承認をしていると思いますので、そこでのエラーがありえます。

③は、しくみの運用やその定着、浸透におけるヒューマンエラーです。
これも経営トップが直接関わることは少ないと思いますが、少なくとも、しくみの運用実態や定着、浸透度合いを何らかの形で把握し、必要に応じた対応を行わせる責任があります。その責任を果たせなかったエラーが問われるのではないでしょうか。

②③に関しては、現場でエラーが発生し、それを組織内で防ぐことが出来ずに、社外に流出することで大きな問題として発覚してから、結果的に、しくみの構築、運用での問題が問われ、経営責任が問われることになることが多いと思います。
これらのリスクを減らすためには、当ラボでは、
・経営の根幹に関わるしくみがうまく機能しなくなる可能性を想定し、そうなる前にどう対応するか、その事態が発生した場合の備えやリカバリーをどうするか。
・しくみの運用実態を定期的、継続的にモニタリングする、運用がうまく行っていない、正しく運用されていない場合の情報がすぐ経営トップに直接上がる(内部通報制度含め)ようにする。
・上記問題の対応も含めて、チームでエラーを防ぐしくみをどう構築するか。
当たりが重要ではないかと考えています。
みなさまはどう思われますか。

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