適正な政治資金収支報告書を作成することが、政治家のするべき仕事の一部だと思いますので、このカテゴリで、政治資金収支報告書の不記載を考えてみたいと思います。
政治資金収支報告書の不記載に関する政府側の主張(当ラボの見解)
各種報道を見ていると、政府側の見解は概ね、「政治資金収支報告書の不記載はミスによるもので、故意で行ったとは認識していない」というもののようですね。
当ラボで勝手に解釈すると、
1.政治資金収支報告書の不記載は、政治資金規正法やその趣旨に反する意図を持って、行ったことではない。つまり、法やその趣旨を守らないという悪意を持って、やったことではない。
2.あくまでも、ミス=ヒューマンエラーであり、過失である。
ということでしょうか。
ちなみに、法律的に故意と過失は以下のような考え方のようです。
故意 | 結果が発生することを認識した上で、あえて、その行為をすること |
過失 | 結果の発生を予見しており、その発生を防止する注意義務を負っていたにもかかわらず、注意義務を怠って、結果を発生させてしまうこと |
ヒューマンエラー的に考えると
ちなみに、当ラボでも、法律上の故意はヒューマンエラーとは考えていません。不具合という結果を起こすという悪意を持って行う行為だと考えるからです。
当ラボでは、ヒューマンエラーを大きく2つに分けると、「ついつい・うっかり型エラー」と「あえて型エラー」に分けられると考えています(詳細は以下の動画を参照ください)。
まず、「ついつい・うっかり型エラー」で例を挙げると、以下のようになります。
エラータイプ | 不記載につながるエラーとして想定される例 |
---|---|
記憶エラー | 政治資金収支報告書に記載すべき一連の情報の記載を忘れる |
認知エラー | 政治資金収支報告書に記載すべき情報を見逃す |
判断エラー | ある情報を記載しなくても、政治資金規正法には違反しないと判断した |
行動エラー | ある情報を、政治資金収支報告書に記載しようと思っていたが、一部記載が漏れる |
政治資金収支報告書の不記載を指摘されている議員がどう考えているか分かりませんが、
・政治資金パーティーを開催し、
・政治資金パーティーの収益の一部を政治資金収支報告書へ過少または記載をしていなかった。
という事象であり、報道でも、普通に「裏金」と言われているくらいですから、政治資金規正法から見たらグレーゾーンに当たることは分かっていた行為と想定されますので、「ついつい・うっかり型エラー」に当たるとは言い難いと思うのは私だけでしょうか。
次に、あえて型エラーですが、例えば、「もしかしたら、政治資金規正法に触れるかもと思いつつ、派閥の他の人も同じようにやっているから大丈夫だろうと、派閥の指示を優先して行った」ことが該当すると思います。
法的な対応はともかく、実際に、どのようなミス=ヒューマンエラーが発生して、このようなことが起こったのかを明確にしないと、どのようなシステム、しくみに変えないといけないかの議論も出来ないと思いますが、いかがでしょうか。みなさまの会社では、当たり前のように実施されていることだと思いますが。
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