以前、「労働災害のウラにヒューマンエラーあり」で、
・「災害報告書に記載された再発防止策がいつの間にか守られなくなっている」現象の背景に、
・決まり事があるのは分かっているが、面倒だとか、別のことを優先したり、他の人も守っていないから以外の「あるある」がある。
と述べました。今回はそれに触れたいと思います。
あえて型エラーは、簡単にいうと、決まり事を守らない違反とリスクのある行為をあえて行うリスクテイキングの2つがあります。つまり、いくら再発防止策を決めても、それをあえて守らないということです。
あえて型エラーの範囲には入りますが、面倒だとか、別のことを優先したり、他の人も守っていないから守らない以外の背景としては、私の経験上、「再発防止策が現場の実態に合っていない」ということが多いです。例えば、早急に再発防止策の検討、実施をしないといけない事情があり、現場の意見を十分に汲み取れないまま、安全管理部門が主体となって検討を進めた結果、現場の実態に合わない策となってしまうといったケースです。
もちろん、最初から有効な策が打てるのが理想的ですが、このブログのあちこちで言及しているように、「しくみを構築するのも運用するのも人」である以上、最初から完璧なしくみを構築・運用すること自体、難しいこともあります。また、このまま放置すると現場最前線のみなさまが命の危険にさらされる、災害報告書を出来るだけ早く提出しないといけないといったことから、やや拙速気味に進めてしまうこともあるでしょう。大切なことは、そんな場合でも、運用実態を踏まえた改善ができること、また、その機会があることではないでしょうか。
ここまで読み進めて頂いたみなさまの中には、「ウチは、対策の効果を検証して、その効果が確認できないと災害報告書が完了しないしくみになっている」と思った方もいらっしゃると思います。それは、すばらしいしくみだと思いますが、大事なことは、効果検証の期間、タイミングです。私も仕事柄、いろいろな災害報告書を見させていただきますが、確かに、効果検証の欄を設けている会社は多いと思います。そこで、効果検証の期間、タイミングを聞くと、対策を実行した直後、もしくは、対策のトライアル時に行われているケースが散見されます。もちろん、それ自体はよいことですが、それで大丈夫といえるでしょうか。運用し続ける中で気付けることもあるでしょうし、継続的に実施してみて、実態に合わないことが出てくるかもしれません。運用して、1か月後、半年後、1年後など対策内容によって確認の期間、タイミングは変わってくるかもしれませんが、どちらにしても、少し長い目での確認が必要ではないでしょうか。半年後、1年後、2年後にちゃんと実行されているかを確認して、問題なければ、それでようやく完了とする会社を実際に見たことがあります。
このようなことも踏まえて、「労働災害のウラにヒューマンエラーあり」でも触れましたが、安全管理のしくみを見直す支援をする際には、「過去の労働災害に関して、災害報告書に記載された再発防止策を今でも実施されているのか」を3~5年くらい遡って検証することにしております。
決まり事が守られない時に、もう一つ考慮すべき背景がある
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