試験・テストをヒューマンエラー視点で考える。

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試験・テストにおけるヒューマンエラーとは

学生は勉強が本分と言われますので、もちろんのこと、社会人になっても、資格を取得したり、昇格のために、試験・テストが課せられ、避けて通れない方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。試験・テストにおけるヒューマンエラーは何かと考えると、満点が取れずに失点した箇所=間違えた=ヒューマンエラーと考えられると思います。ただ、すべての試験・テストが満点を前提としている訳ではないと思いますので、少なくとも合格ラインに達するために、得点するべき設問の内、正答できなかった所をエラーとしてもよいかもしれません。
学生時代から、それらの無駄な失点を減らすために、試験・テスト対策で「ケアレスミスに注意」と言われませんでしたか。私も、学生時代は特に疑問を持ちませんでしたが、ヒューマンエラーを研究している今は、「何に注意するんだ」って思っています。ケアレスミスに関しては「何に気を付けるの?」も参照ください。

試験・テストにおけるヒューマンエラーを考える

何に気を付けるの?」でも触れましたように、ケアレスミス=不注意によるミスということになると思いますが、当ラボとしては、具体的に何を気を付ければよいの? と思うわけです。まず、試験・テストにおけるヒューマンエラーをタイプ別に考えてみようと思います。ここでは、みなさまに理解して頂きやすくするため、学生時代の試験・テスト問題(卒業して何十年も経っているので、こんな出題があるかどうかわからないのですが・・・)を想定して考えてみたいと思います。
エラーのタイプに関しての解説は以下の動画も参照ください。

人の情報処理システムとヒューマンエラー
一口にヒューマンエラーといってもいろいろなタイプがあります。そのエラーのタイプに関してご紹介します。

■記憶エラーの例
1-1.「error」のつづりを「eror」と間違えて覚えていた。
1-2.「human」の意味をど忘れをして、思い出せなかった(何となく記憶の片隅にはある)。
■認知エラーの例
2-1.「相模」を「相撲」と見間違える。
2-2.クジラを魚類と認識している。
■判断エラーの例
3-1.設問の意図とその答えの方向性はある程度分かっていたが、選択肢から選ぶ際に、「内容が言い過ぎ」ていたり、「内容が一部間違えている」選択肢を選ぶ。
3-2.英語の文章題で、答えを「英語」で書きなさいと設問に書かれているのに、(きちんと設問文を見ずに)「日本語」で書くものだと思って、日本語で答えた。
■行動エラーの例
4-1.マークシートを塗りつぶす時に、4択で左から3番目を塗りつぶすつもり(頭では3番目と思っているが)がとなりの2番目を塗りつぶした。
4-2.「博」の右上の点を打ち漏らした。
ここで、エラーの例を少し補足しておきます。
1-2.「human」の意味をど忘れをして、思い出せなかった(何となく記憶の片隅にはある)。
このエラーは、記憶が全くないわけではなく、何となく記憶にはあるが、試験・テストの場面で思い出せなかった状態です。そのため、帰宅途中で思い出すということもある訳です。
3-2.英語の文章題で、答えを「英語」で書きなさいと設問に書かれているのに、(きちんと設問文を見ずに)「日本語」で書くものだと思って、日本語で答えた。
このエラーは、「きちんと設問文を見ずに」がポイントです。設問文を見て、「日本語」と見間違えたのなら認知エラーです。ここでは、設問文をきちんと見ていないにも関わらず、日本語で書くものと思い込んでしまったことを想定しています。
4-1.マークシートを塗りつぶす時に、4択で左から3番目を塗りつぶすつもり(頭では3番目と思っているが)がとなりの2番目を塗りつぶした。
このエラーは、頭では3番目と思っているが、つい手が2番目に手が伸びて、塗りつぶしたという事象です。パソコン作業でいうと、「8」のキーを押そうと思って、となりの「9」のキーを間違えて押してしまうという事象と同様です。
4-2.「博」の右上の点を打ち漏らした。
このエラーに関して、「点を打ち忘れた」と考え、記憶エラーではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。もし、「博」の右上の点がないものと間違えて記憶していたのであれば記憶エラーです。ここでは、「博」の字は正しく記憶しているが、試験・テストの際に点を抜かしてしまったことを想定しています。つまり、手順の漏れということで行動エラーとなります。

ここで提案です

単に、ケアレスミス=不注意に気を付けましょうと意識付けだけに頼るのではなく、具体的に試験・テストの結果を自己採点して、振り返り、間違えた内容を具体的に確認し、どのタイプのエラーだったのかを分類して、対策を検討することが重要ではないかと提案したいのです。
エラーのタイプが違えば対策も変わってくるはずです。例えば、つづりを間違えて覚えていた記憶エラーと選択肢の選び間違いである判断エラーでは対策方向も変わってくるのではないでしょうか。
また、これを繰り返すと、自分はどのタイプのエラーが多いのか傾向が見えてくることがあります。そうすると、単に気を付けようではなく、「自分は○○エラーが多いので、それを防ぐために、こういうことに気を付けよう、こういうことをしよう」と、同じ意識付けだとしても、少しは具体的になりませんか。
このような振り返りをすると、3-2のような、英語で書くべきところを日本語で書いてしまったという事象が起こった時に、それは、見間違えた認知エラーなのか、日本語で書くものと思い込んでしまった判断エラーか分からない、その時の記憶がないということがよくあります。つまり、どちらのエラーか特定できない、どちらのリスクも捨てきれないということであれば、認知エラーも判断エラーも両方のリスクを想定して、対策を検討すればいいと思います。
もし、私が学生時代にこのことに気づいていたら、もう少しいい点数が取れたかもしれませんね、今更遅いですがw

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