とあるところで、ヒューマンエラー研修を行った時に、受講頂いた方からこんな質問が出ました。

講師の方は、ヒューマンエラーは少ない方ですか?
後で、意図をお聞きしたら、研修でヒューマンエラーに関して、話しているくらいだから、エラーも、普段から少ない人なのかなとシンプルに思って、聞かれたそうです。
私は、少し考えて、こう答えました。

ヒューマンエラーは多いと自覚しています。
こんなことを言うと、この当サイトの信憑性が揺らぎそうですが、続けて、こう答えました。

ヒューマンエラーが多いことを自覚することで、普段から、エラーには興味、関心を持っていますし、エラーを起こしたら、自分なりに、なぜエラーを起こしたのかを振り返り、次に活かす努力はしています。
もちろん、ヒューマンエラーが少ないに越したことはありません。
そもそも、エラーが多い少ないを明確に評価できる絶対的、客観的な基準はありません。
みなさまの周囲に、あの人はエラーが多いなと感じる人がいるとしたら、それは、エラーに起因する不具合が発覚した件数が多い人ではありませんか。それよりも、エラーを起こしても、他の人に気づかれずに済んだり、その前に対処していることの方が多いのではないでしょうか。
単に、エラーが多いから悪いということではなくて、エラーに対して、どう向き合っているかというスタンスが大切なのではないでしょうか。このような観点から少し語らせてください。
素直に認め、受け入れる
ヒューマンエラーをしてしまい、自分に非があるのであれば、素直に認め、受け入れ、謝罪や応急措置など必要な対応をすることが大切です。
振り返り、再発防止、改善を行う
必要な応急処置をした後、エラーを振り返って、要因抽出、対策立案と実施という再発防止、改善を行います。
以下のページに、当ラボが運営しているサイトで取り上げている記事や事例の内、エラータイプの考え方やエラー発生メカニズム、要因例、対策方向・例を扱ったものをまとめておりますので、再発防止、改善のヒントにして頂ければ幸いです。

己を知る
エラーを振り返ることは大切ですが、必要以上に引きずらず、今後、エラーを減らしていくことも併せて検討するべきです。そのために、最初にやるべきことは、「己を知る」ことです。
自分のヒューマンエラー発生傾向を知る
ヒューマンエラーセルフチェック(簡易版)も参考にしていただき、まず、自分のヒューマンエラー発生傾向を知ることをお勧めします。


仕事でのヒューマンエラー発生傾向を知る
仕事上で、自分が過去に起こしたエラーやヒヤリハットをヒューマンエラーリスクマップにまとめてみるなど、仕事でのエラー発生傾向を把握することで、単に気を付けようというだけでなく、より具体的な意識付けも可能になるのではないでしょうか。
もちろん、それらのエラーを低減するための、しくみや方法・手順、基準・ルールの構築、設定、見直しができれば、それに越したことはありません。
将来に目を向け、未然防止する
再発防止は、もちろん、ヒューマンエラーに起因する事故、トラブルに至る経緯に目を向けますが、「今後何をすればよいかを検討するために、事故やトラブルを振り返る」というスタンスも大切ではないでしょうか。
更に、自分や仕事でのエラー発生傾向を把握し、今後、エラーを起こさないために、どうすればよいかを自分なりに検討、実践することがエラーの未然防止につながると思います。
その際、「今後間違えないように」ではなく、「うまく行くように今後どうするか」というスタンスで考えることで、より前向きに取り組めるかもしれませんね。



しくみやシステムを有効活用する
人である以上、エラーは避けられませんし、すべての行為に長時間、注意を払って、エラーをゼロにするなんて、そもそも無理です。
そのため、しくみやシステムでエラーを防げるなら、それらを有効活用することも重要です。
とはいえ、しくみやシステムを構築するのも運用するのも人である以上、完璧なしくみ、システムはありえません。それを認識、理解した上での「人」側での対策も必要です。



致命的、重篤な不具合につながるヒューマンエラーを防止することに力を入れる
前項でも触れましたが、すべての行為に長時間、注意を払って、エラーをゼロにするなんて出来ません。
時には、エラーがある程度あっても、致命的、重篤な不具合に至らなければよいという考え方、割り切りが必要なこともあります。
継続的にヒューマンエラー防止活動を積み重ねる
・それでもエラーが発生した時は、振り返り、再発防止、改善を行う。
・今後、エラーを起こさない(未然防止)ために、どうすればよいかを自分なりに検討、実践する。
という、エラー防止活動を継続して行うことも重要ではないでしょうか。
この積み重ねが、ヒューマンエラー防止の基礎力・実践力を高めることにもつながります。よろしければこちらもご覧ください。



ヒューマンエラーを活用する
前項もある意味、エラーを活用していることになりますが、それ以上に、ここでお伝えしたいのは、エラーを笑いに変えるということです。
ヒューマンエラーというと、重いニュアンスを感じる方もいらっしゃるかもしれないので、ここでは、ヒューマンエラーをミスや間違いと言い換えます。
例えば、ミスや間違いがない(ように見える)人が、ちょっとしたミスや間違いをすると、急に、親近感が湧いたりしませんか。
また、芸人さんが笑いを取る時に、自分のミスや間違いをネタにしたエピソードトークをしたりします。
要するに、ミスや間違い=ヒューマンエラーは、時に、人間味を醸しだしたり、笑いを生むこともあるので、それを受け入れて、活用するという姿勢でやってみるのもありではないでしょうか。もちろん、致命的、重篤な不具合につながるヒューマンエラーを笑い話にするのはダメですが。
人に話せるような笑い話にできるということは、ある意味、エラー内容を第三者的、客観的に振り返ることが出来ていたり、そのエラーを引きずることなく、前を向いて歩き出しているといえるかもしれませんね(SNSでも、ご自身の体験したミスや間違いのエピソードを書かれている方が散見されます。笑い話にしているかどうかは別にして)。
また、自分の起こしてしまったエラーを第三者的、客観的に振り返り、「こうすればよかった」「こうしておけばよかった」という教訓まで整理して、笑い話的に伝えれば、エラーを防ぐための教訓をより効果的に伝えることができるかもしれません。
更に、ヒューマンエラーを笑いに変えるという意味では、エラーを指摘する時に、ユーモアを交えて、表現するのも一つの手かもしれません。
ただ、ヒューマンエラーの内容や時と場合、伝える相手には留意が必要ですが。



ヒューマンエラーを前向きにとらえる
前項もそうですが、ヒューマンエラーを前向きにとらえることも、場合によっては、必要ではないでしょうか。
当ラボでは、ヒューマンエラー=失敗ではないと考えています。
厳密にいうと、「ヒューマンエラーが直ちに失敗になるとは限らない。エラーをしても、失敗とならないこともある」という言い方になります。
失敗を、意図した結果や成果(=成功)を得られなかった状態だと考えると、本来、こうすべきことをしなかったというエラーをしたら、必ず、事故やトラブル、クレームなどの不具合が起こる訳ではありません。
仮に、エラーはしてしまったが、事故やトラブル、クレームなどの不具合にまでは至らなかったことが発生したとしましょう。
もしかすると、この事象には、エラーは起こしたが不具合をうまく避けられた教訓が潜んでおり、その教訓を活かして、今後、発生しうる不具合を防ぐこともできるかもしれません。
また、英語で、トライ&エラーというように、成功をするためには、文字通り、試行錯誤も必要になります。成功のためには、ヒューマンエラーを必要以上に恐れないことも必要かもしれませんね。



ここまで、ヒューマンエラーに対するスタンスを考えてきました。
当ラボでは、このようなスタンスを踏まえ、いろいろ情報発信しております。他のページもご覧いただけましたら幸いです。

